前へ進むために、立ち止まって気づいたこと
朝晩がだいぶ寒くなってきました。
日中との寒暖差がある日も多いので、
体調管理を気をつけたいですね。
さて、
先週、数年前に読んだ『The GOAL(ザ・ゴール)』を、久しぶりに読み返しました。
そのときも興味深い内容だと思っていましたが、今回はまったく違う印象を受けました。
以前は「工場の話」として読んでいたのに、
今は「人や組織の話」として、すっと心に入ってきたのです。
特に印象に残ったのが、
ボーイスカウトの行進のシーンでした。
列を組んで歩く子どもたちは、しばらくするとだんだん間隔が広がり、
先頭はどんどん進むのに、最後尾の子がどんどん遅れていく。
全体を速くしようと前の子たちが急いでも、隊列は乱れるばかり。
そんな中で、隊長があることに気づきます。
原因は、体格の大きな少年「ハービー」が真ん中にいることでした。
ハービーが遅れるたびに、後ろの子も止まり、列全体が遅くなる。
隊長はそこで、ハービーを先頭に移動させます。
そして全員が彼のペースに合わせて歩くようにしたのです。
するとどうでしょう。
歩くスピード自体は変わらないのに、列の間隔は自然と整い、
全体がまとまりを持って進み始めました。
このエピソードを読みながら、思わず「なるほどな」と感じました。
どんな組織にも、ハービーのような“制約”は存在します。
それは人かもしれないし、仕組みやルール、情報の流れかもしれません。
けれど、それを隠したり避けたりしても、前には進めない。
大切なのは、その制約を見える形にして、みんなで支えること。
まさに“ハービーを先頭にする”という考え方です。
印象的だったのは、ハービーが先頭に立ったあと、
周りの仲間たちが自然と荷物を分担し、声をかけ合いながら進んでいく姿でした。
誰かに命令されたわけでもなく、
「全員で進もう」という気持ちが自然と生まれていたのです。
この場面は、どんな職場にも重なる気がします。
誰かが苦労しているとき、それを“個人の問題”にせず、
みんなで助け合い、流れを整えていく。
そこにチームとしての強さや温かさがあるのだと思います。
『The GOAL』は、一見すると生産管理の物語ですが、
本当のテーマは「全体の流れを良くする」ことにあるのだと思います。
速く進むことよりも、みんなが同じ方向に進むこと。
効率よりも、協力。
個々の努力より、全体の歩調。
読み終えたあと、静かにそんなことを考えました。
私たちの仕事も、人生も、誰かが置き去りになると前に進めません。
だからこそ、焦らず、止まらず、歩調を合わせながら進む。
そんなチームでありたいと、改めて感じました。
今年もあと少し。
一歩ずつ、足並みをそろえながら進んでいけたらと思います。